発達の凸凹があるお子さんの“キラリ” ①

発達障害について

Aくん(小5)は活発で利発なお子さんですが、クラスや集団の中でしょっちゅうトラブルになってしまいます。ある日、Aくんは学校の昼休み、運動場でドッジボールをしている仲間の間に棒切れを振り回しながら乱入し、大ゲンカになってしまいました。その日の放課後、スクールカウンセラーのさくらさんとAくんの会話です。

さくら:昼休み、友だちとケンカしたみたいだけど、何かあったの?

A:(ケロっとした顔で)昨日の夜、雨が降ったでしょ。

さくら:うん、降ったね…? 

A:運動場の土がいい具合だったんだよ(嬉しそうに)。

さくら:ん…?

A:地面が柔らかいと、いい絵が描けるんだよ。

さくら: ああ、Aくんはそこで絵を描こうと思っていたの?

A:そうだよ。

さくら:そうか。でも、あそこではみんなドッジボールしていたでしょう?

A:そうなの?

さくら:そうなのよ。

A:ふ~ん

さくら:だから、みんなはAくんがドッチボールの邪魔をしに来たと思ったんだよね。

A:ふ~ん、知らなかった。

さくら:Aくん、こういうルール守れるかな?「どこかで遊ぶ時は、誰か先に遊んでいる子がいないか確認する」これ、できる?

A:できるよ。簡単だよ。

さくら:OK。あと一つね、Aくんはその時棒切れを振り回したみたいだけど、人が大勢いる所では棒切れを振り回したらいけないってクラスのルールがあったんじゃない?

A:(真面目に)あれね、〇〇っていう植物の茎なんだよ。茎は棒じゃないでしょ?

さくら:ん~、正確に言えば、茎と棒とは違うよね。ただ、長くて固そうなものも棒っていうことがあるんだよ。Aくんが知ってる「棒」の意味にそれも付け加えられる?

A:ふ~ん、そうなんだ。

Co:じゃあ、これから、この2つのルールを守れるかな?

Aくん:(明るく)いいよ。

Aくんは勉強のできるお子さんですが、強く興味を引かれるものに注意が集中し、周りの状況を見落としてしまうことがよくあります。そのため、あまり納得できないまま叱られたり、指導を受けることも多いようです。

このようなお子さんの社会スキルを上げるには、「もっと相手の立場や気持ちを考えなさい」「みんなと仲良くしなさい」と抽象的な言葉で叱るより、そのお子さんがその行動をとった理由、くい違いをはっきりさせ、「次から〇〇した時は〇〇する」というようにルール化するとうまくいきやすいようです。

さて、Aくんの“キラリ”は何でしょう。そう、周りが見えなくなるほどの集中力と、言葉の意味を学問的に正確に捉えるセンスだと思います。学者や専門家タイプと言えますね。ここを伸ばしていけると、すばらしい将来につながるのではないかと思います。

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